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Randolph Caldecott  ハートの クイーン、夏の日 とっくり
   パイ生地 こねて、 一日 がかり   
 ハートの ジャック、ぜんぶ そっくり
   タルト くすねて、逃げたばかり!

(“The Queen of Hearts,she made some tarts,
    All on a summer day:
  The Knave of Hearts,he stole those tarts
    And took them quite away!”)


これは作者不明の童謡 (ナーサリー・ライム。いわゆるマザー・グース) の冒頭部分を、全くそのままの形で引用したもの。
Web上では 『UNDERGROUND RESIDENTS』 内の 「Nursery Rhymes in Alice」 『大好き! マザー・グース』 にも、原詩および訳詩の紹介がある。
本来は ‘On a Pack of Cards’   つまりハート、クラブ、スペード、ダイヤのそれぞれの絵札を うたった48行の長い詩だったが (ただし、この詩には多くのヴァージョン違いあり)、現在は最初の部分、‘The Queen of Hearts’だけがよく知られている。
『不思議の国』 で使われたため 後世に残ったと言われるが、Hearts と tarts が韻を踏むことで、タルトを盗むのが心を盗むに通じ、甘い恋の唄と読めたり、 ジャックの意味の knave が古典的には 「悪党、ゴロツキ」 を指すのに掛けて盗人にされている (岩崎民平訳では 「邪悪」 を 「ジャック」 と読ませている) など、言葉遊びの詩として非常に巧くできている。
元の童謡の第 2連では、ジャックがタルトを返したとされている点にも留意して欲しい **