小松杏里「眠れぬ夜のアリス」は、ひとりが何役も演じるメタ・フィクション。
佐伯真也[ハートの女王様/パパ]
恭子[麻耶/アリス/赤ずきん/シンデレラ/白雪姫]
菜津子[チェシャ猫/白雪姫の小人4]
……
いかにも「80年代小劇場」的なスラップスティックだ。
“へへへ、俺はロリコンなんだよ! ウォォォ!”と吠える“狼A”が登場したりするが、基本的にはギャグなので、さほど嫌味はない。
当時の「常識」的感覚としては、アリスと銘打って“ロリコン”の語が登場しなければ観客も納得しなかったろう。
帽子屋 しかし、なぜSMには、女王様はあるけど、王様ってのはないんだろうね。
〔中略〕
ヤマネ (突然、話に参加し)それはね、王様ってのはいい人が多いからさ。
〔中略〕
三月兎 そういえば、目黒に“王様の部屋”っていうファション・マッサージがあるけど……
三月兎は“バニーガール姿”という設定。
案外、演劇のセリフというのは安直なほうが演出も役者の個性も生きるようだ。
「眠れぬ夜のアリス」は現在も高校演劇などでは、しばしば公演されている。