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居丈高なる 上の姫様が 発する/ご託宣 「もう 始めてよ ね」 ――
(Imperious Prima flashes forth/ Her edict “to begin it”:)

Imperious は、「尊大な、高飛車な」という意味の文章語だが、言外の意味として「一刻の猶予も許さない」というニュアンスがある。 frash という動詞、“to begin it”という、せっかちなセリフが、差し迫った感じを強めている。
また、edict 「勅令、布告」という単語が繰り出されることで、Imperious は、まさに「女王のような」イメージとなろう。

ラテン語 Prima は、本来 first の意味に過ぎないが、プリマ・バレリーナ(prima ballerina)、あるいは「女性歌手・主演女優」を意味するプリマ・ドンナ(prima donna イタリア語由来)を想像させる。
ここは、ロリーナ・リドル〔 Lorina Charlotte Liddell (1849-1930.)〕が 「長女」であることを詩的に表現したものだが、同時に、その気位の高さをも示しているか。


キャロルはラテン語を得意としたことが知られるが、 prima,secunda(セクンダ)tertia(テルティア) くらいの単語なら、 例えば聖歌の第 1、第 2、第 3パートという意味で用いられるため、ヴィクトリア時代であれば、子どもでも意味を把握し得ただろう。
ただ、そうは言っても、気どった婉曲表現であることに変わりはない。