あるいは原典のニュアンスは「それだけはごかんべんを、旦那さま、どうか、どうか!」といった哀願調で、使用人の立場は弱いのかも知れない。
しかし、Sureの用い方や、yer honourという ぞんざいな言葉遣いを見れば、平身低頭というわけでもなさそうだ。
キャロルの作には、ノンセンスで権威を笑うような面と、使用人の人格などは見下げている面が、特に矛盾なく存在する。
シェイクスピアのシャイロックの演出ではないけれど、ある程度の“読み替え”は訳者の裁量かと考えたりもする。
が、6章で登場の料理人の“強さ”も考え合わせれば、とりあえず、ここのパットも ふてぶてしくてかまわないだろう。