原文は別に地口ではない。直訳では 「まだちゃんと自分が存在していることをおおいに喜びました。」(高橋康也・迪訳)
拙訳は 「子ども向け」 に全体にくだけた文体を用いたので、ここも堅い訳語は避けたのだが、堅い言葉を用いた直訳のほうが、いろいろの“読み方”を引き出せるのは確かである。
例えば、ガードナーはここに注をつけて、アリスの巨大化が宇宙の膨張の説明 に使用されて来たことを挙げ、このくだりは宇宙縮小理論の絵解きとなる、といった話を紹介している。
『決定版 注釈アリス』 では、近年のビッグ・クランチ理論 (「ビッグ・バン」 にはじまって 膨張しつづけた宇宙は、やがて自重に耐えきれなくなり、急速に縮小する。その終わりが 「ビッグ・クランチ」) の名も挙げているが、
基本的にはキャロリアン・ジョークの類で、キャロル自身の考えとは別に関係ない。