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アリスは、おだやかに、さとす。(Alice gently remarked.)

「甘いものばかり食べていると病気になる」というのは母親の決まり文句。gently は、アリスが母親の口調をまねたことを意味するのだろうか?

ただし、アリスもの(『不思議』と『鏡』)にmotherという語が一度も使われてないことは、モートン・N・コーエンの『ルイス・キャロル伝』にも指摘されているとおり。
ここでcatty「猫のように意地が悪い」と評されるLiddell夫人を想起する必要もあるまい
不思議の国で母性のようなものを感じさせるキャラクターは他ならぬアリス、とラスト・シーンにおける姉のみである(あと 強いて挙げれば卵を守るハトと3章末のカナリアくらい)。

gentlyという語も、『不思議の国』ではここと、ラストでアリスの顔にふりかかる落ち葉を払ってあげる姉の挙措に用いられているほかは、2章のクロコダイルの詩の最終行With gently smiling jaws!「ほほえみかける、おおきな口!」に皮肉な意味で使われているだけ。
(ここのアリスの態度も少しばかり皮肉が混じっている。『鏡』では皮肉というより、ギスギスしがちな展開をやわらげるためであるかのように多用される)
巻頭詩第 3連も参照のこと。


 といっても夫人が特に悪人だったわけではない。 地位相当の尊敬を受けるべく家柄を保とうとした人物で、これは当時としては美点だった。
夫であるLiddell学寮長をよく たすけ、学校行事や生徒たちにも配慮して、時には若い教師たちの相談相手にもなったという。
世間話にうとい夫に代わりパーティを盛りあげるなど如才がなく、ヴィクリア朝の婦人としては、むしろ理想に近い人物であったらしい。

(最終更新 2014年1月16日)