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覚つかな げな、おさない 腕が、/オールを 両方とも、にぎり、
( For both our oars,with little skill,/ By little arms are plied,)

plied は「さかんに動かす、励む」という意味の ply の過去分詞形と考えられるが、この単語には「(船などが)往復する」という意味もある。
いずれにせよ、オールの動きを捉えた動詞。

通常の舟遊び(パンティング)は、竿(ポール)1本で川底を突き、その反動で舟を進めるものなので、オールはあくまで補助的に使われる。
竿さばきは、大人でも慣れてなければ難しく、竿が川底に突き刺さって動かなくなったり、ひと所をぐるぐる回るといった光景は珍しくないようだ。

この詩では、リドル家の 3姉妹がボートを操ったことになっているが、舟遊びに同行したロビンスン・ダックワース 〔Robinson Duckworth(1834-1911.)〕の回想によると、 ダックワースが stroke 「(船尾の)整調手」、キャロルは bow 「船首の漕ぎ手」で、Alice Liddell が“cox”「舵手(あるいは艇長)」だったという (Collingwood 『The Lewis Carroll Picture Book』)。
ダックワース師の回想は、そのままに受け取れないものも多いが、現実問題として最初から最後まで子どもたちに操艇をゆだねていたとは考えにくい。


第 1連では、little skill 「つたない技」、little arms 、さらに little hands と、連続して 3つの little が用いられる。
同じ形容詞を、このように繰り返すことは稚拙な文と見られかねず、通常ありえないが、ここにはキャロルの言葉遊びが隠されている。 (→次注を見よ)