bill を普通名詞と捉えれば 「兎、小議案を提出」(多田幸蔵訳)、「勘定書を送りこむ」(梶原秀男訳、1951.)といった意味にもとれる。
これらの例は訳し過ぎと言えばそれまでなのだが、キャロルとしても、くすぐり程度のダブル・ミーニングは企んでいたのだろう。
拙訳には、いささか不可解な印象を受けるだろうと思うが(ウサギがビル火災をくい止めているような? …と、さすがに、そこまで考える人はいないか)、そもそも原題が不明瞭で、 Bill がトカゲの名前で下僕のような存在とは、本文を読む前には想像しにくい。
『THE NURSERY “ALICE” 子ども部屋のアリス』 5章の章題は、簡単に BILL,THE LI ZARD. 「トカゲのビル」 である。