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「三月ウサギが住んでる。ぼちぼち春になると、あらわれるやつさ。好きなほうを、たずねればいい。    どっちにしろ、くるってる」
( “lives a March Hare. Visit either you like : ther're both mad.” )

ガードナーは 『詳注アリス』(1960.) で、as mad as a March hare 「3月のウサギのように狂っている」 という古来からの言い回しの意味を、3月はウサギの発情期であるという説に求めた。
この説はそのまま諸訳の注や、別宮貞則 『「不思議の国のアリス」を英語で読む』(1985、1993、2004.) などにも採用されたが、『新注アリス』(1990.) にあるとおり、野ウサギの繁殖期は 8ヶ月にもわたり、語源説としては疑わしい ( 『決定版 注釈アリス』(2000.)では、古い注の部分が削除されている)。


MANIAC MARCH HARES


『公園のメアリー・ポピンズ〔Mary Poppins in the Park〕』(1952.) 5章では、公園番が「わたしは、たぶん、三月の帽子屋みたように、気がふれているんでしょうが――」〔林容吉訳〕と、うなる。
ここは『不思議の国』へのリスペクトだろう。

(最終更新 2015年 3月 8日)