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Caterpillar smoking a long hookah


キャロルの意図は不明だが、水ギセルは当時、アラビア風の異国趣味を象徴
するものだった。
M.ハンチャー(石毛雅章訳)『アリスとテニエル』(東京図書、1997.) 17-8頁は、
漫画雑誌 《Punch》の画家にとって、この図像は 「教皇」 を風刺するものだった
と分析している。
また 同書 49-50頁では、キャロル自身の絵と比較して、テニエルの絵の画面
構成等を論じている。





背景に描かれた花は、キツネノテブクロか。
花の形だけから見れば、リンドウかイングリッシュ・ブルーベルとも思えるが、
花序 (花の配列) から考えて、6章 の子ブタと チェシャ猫 のイラストでも登場
するキツネノテブクロが、ここでも描かれたものと見られる。
ただし、キツネノテブクロは草丈が50〜150cmくらいで、アオムシの絵とスケー
ルが合わない。
そのためか、『THE NURSERY “ALICE” 子ども部屋のアリス』 所載の カラー
版イラスト
では、この花の部分が消されている。
元来アリスのイラストは、さほど縮尺など気にかけていないものの、ここは他の
イラストと比較できるだけに、こだわる見方をすれば引っかかる部分。
逆に言えば、テニエルに、この花はキツネノテブクロにしてはおかしいとの認識
が生じたために、『子ども部屋』 の段階で削除したのだと考えられる。

(最終更新 2014年 4月28日)