テニエルが描いたのは、白ウサギが、童謡の訴状 を読み上げている 儀杖兵は、モノクロのイラストでは 8章の兵士と同様にクラブであるが、 王妃の足元には、8章末に登場した死刑執行人が控えている。 ハンチャーは鳥の弁護士たちについて、テニエルの友人であった チャールズ・H・ベネット の 『イソップ寓話』 口絵 「馬を虐待した罪で裁かれ テニエルのイラストに、法服をまとったオウムと子ワシが登場していることは、興味ぶかい。 (最終更新 2015年 6月26日)
場面。
『子ども部屋のアリス』 では、ハートに描き換えられている。
背景の王家の紋章や、 白ウサギの典礼服、その立っている壇の幕の
飾りや、廷吏の杖までハートであるため、ここはハートに統一しようとの
判断だろう (それに 『子ども部屋』 には、棍棒をもった兵士、というよう
な説明 は文中 に無い)。
にもかかわらず、被告のジャックの 服の模
様が、クラブのままなのは 「誤認逮捕」 を意識したのだろうか?
このイラストについては、M.ハンチャー(石毛雅章訳) 『アリスとテニエル』(東京図書、1997.) 第 3章(57-65頁) も参照のこと。
る男」(「ライオンの法廷で裁かれる男」) に登場する “かつらをつけた犬や鳥が もとになったかもしれない” と、考えている (上図)。
フクロウと王、ライオンと王妃 の表情の類似も指摘している点が、鋭い。
が、ガードナー『新注アリス』12章注 5 によれば、この説を最初に展開 したのはジェフリー・スターンで 《ジャバウォッキー》誌1978年春号での
ことらしい。
その背後の陪審員席には、石板を持ったアヒル(と、その餌にしては巨大なカエル) の姿も見え、テニエルが、キャロルの意図した楽屋オチ
を、承知した上で描いていたことを匂わせる。
オウムと子ワシの 2羽 は、他の猛禽類と異なり、引っくり返った陪審席の図 にも、しっかりと描かれている。