原書はドイツ語だが(Das Grosse Buch der Tiermärchen、1962.)、ヤーヌス・グラビアンスキーはポーランドが本国の画家(『不思議の国』のイラストに関してだけ言えば、取り立てて評価できないが)。
「三びきの子ぶた」〔イギリス童話〕、「くるったおちゃの会」、「キツネとガチョウ」〔『グリム童話』〕、「なくした足」〔『ミツバチマーヤ』より〕、「ゾウの子どもにながいはなができたわけ」〔キップリング作〕、「ふしぎなぼうけん」〔『ニールスのふしぎなたび』より〕以下、世界各国の童話・民話を多数 集めたアンソロジー。
高橋健二訳は基本的に言葉遊びを訳していない(井戸の底の三姉妹が“いと深くに”いたという部分は、ばっさり省略されている)が、“ぼうしや”の歌にも工夫が見られるほか、“ネムリネズミ”のMづくしは“「な行のもの、たとえば、ねずみとりとか、なんとか。なんぼでもあるさ。あんたは、なんぼでもくみあげてみたことある。」”と、なかなかのもの。
なお、the March Hareは“サンガツウサギ”と全てカタカナで表記。〔原文 総ルビ〕
横谷輝(文、嶺田弘画、ポプラ社〈世界名作童話全集〉47、1964.4.
国会図書館データでは“長谷川露二”画としているが、ポプラ社版〈世界名作童話全集〉47は、活劇的な冒険小説の挿絵で知られる嶺田弘が、ややミス・マッチな絵を入れている
(なぜ国会図書館が、そう記載しているのか不明だが、おそらくはデータをコピーしたさいの単純な誤りだろう。
同シリーズ34『ピノキオ』は長谷川露二画であることを確認済み)。
(→この著作については私家本『Alice in Trash Basket』でも紹介しています)